はじめに
会社を設立するときや、決算月を変更するときには、いつにするかを決めなければなりません。決算月は、会社の業績や財務状況をまとめる期間の終わりを示すもので、通常は12月末や3月末などの年度末に合わせますが、必ずしもそうである必要はありません。決算月を選ぶポイントについてまとめていきたいと思います。
決算月の選び方の基本
個人事業主の場合には12月31日が期末日になってしまうわけですが、法人の場合には自由に決算月を指定することができます。決算といえば3月のイメージを持つ方が多いと思いますが、以下の点を考慮して決めることをおすすめします。
特に3月決算企業は多いことから必然的に税理士側も繁忙期となってしまうため、十分な対応をしてもらえないという可能性もあります。
- 本業の繁忙期とバッティングしないか?
- 顧問税理士を確保できるか?
- 納税のタイミングで資金は確保できそうか?
- 消費税の免税期間をできるだけ長くしたいか?
決算月を選ぶポイント
次に上記のポイントを詳しく見ていきたいと思います。
本業の繁忙期とバッティングしないか?
決算月の翌月~翌々月は会計帳簿の整理や税務申告などの作業が増える時期です。そのため、本業の仕事が忙しい時期と重なると、業務に支障が出たり、ミスや遅延が発生したりする可能性が高くなります。例えば、小売業や飲食業などは年末年始が繁忙期であることが多いので、12月末は避けたほうが良いでしょう。逆に、建設業や旅行業などは冬場が閑散期であることが多いので、12月末を決算月にすると都合が良いかもしれません。自社の業種や業態に合わせて、本業の繁忙期とバッティングしない決算月を選ぶことが重要です。
顧問税理士を確保できるか?
決算期には顧問税理士による監査や確定申告などのサポートが必要になりますが、税理士も決算月によって忙しさが異なります。一般的には、12月末や3月末などの年度末を決算月にしている企業が多いので、その時期は顧問税理士から十分なサポートを受けられない、または他の決算月よりも高い報酬を要求される可能性があります。逆に、6月末や9月末などの中間期を決算月にしている企業は少ないので、その時期は顧問税理士との調整がしやすいかもしれません。自社の予算や顧問税理士との関係に合わせて、顧問税理士を確保しやすい決算月を選ぶことが重要です。
納税のタイミングで資金は確保できそうか?
決算月から2ヶ月後には法人税や消費税などの納税義務が発生します。そのため、納税時期に資金繰りの余裕があるかどうかを考える必要があります。
例えば、業務上、あらかじめ経費や仕入の支払いが多い月が決まっている場合や、従業員への賞与支払いがある場合、それらの月を避けられるのであれば、なるべく避けた方が良いでしょう。
消費税の免税期間をできるだけ長くしたいか?
原則として、法人の課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合には、消費税の納税義務が免除されます。ここで、法人の基準期間は前々事業年度(=2期前)を指すため、新たに設立された法人のように、そもそも基準期間がないときには、原則として納税義務が免除されることになります。
ここでのポイントは基準期間の考え方が2年前ではなく、2期前であるため、できるだけ消費税の免税期間を長くしたいのであれば、設立日から1年後(4月1日設立であれば、翌年の3月31日)を決算月にするのがベストとなります。決算月を変更する際の注意点
まとめ
これらのポイントを総合的に考慮して、企業の状況や業種に合った最適な決算月を選ぶことが重要です。適切なタイミングで決算を行うことができれば、業務効率や資金管理、税務計画などの面でメリットを得ることができます。ちなみに私の場合は会計事務所を開く傍ら、法人を設立する予定なので、基本的なスタンスは業務の繁忙期を避けた6月決算くらいがいいのかなと考えています。
ということで、決算月は変更できるとはいえ、会社経営に大きな影響を与える重要な決定になりますので、少しでもこの記事が参考になればと思います。
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