Excelシートタブの外観変更で一部自動化パフォーマンス低下

Spreadsheets

はじめに

今回は、最近のExcelアップデートで確認されている興味深い現象についてご紹介します。

最新のMicrosoft Office製品群では、Windows 11のデザインに合わせるため、様々な視覚的な改善が進められています。

その一環として、Excelのシートタブも新しいデザインに刷新されましたが、この変更に伴い予期せぬ影響が出ているようです。

Excel シート タブの外観変更後、オートメーションのパフォーマンスが低下する
こんにちは、Office サポート チームの中村です。 今回の記事では、Excel が新しい外観に変わった後、Excel オートメーションの処理パフォーマンスが大きく低下する場合がある現象について記載します。 1. 前提となる動作変更Off...

何が起きているのか?

問題となっているのは、新デザインのシートタブが採用された後、特定の条件下でExcelの自動化処理(オートメーション)の性能が著しく低下するというものです。具体的には以下のような減少が確認されています。

  • 多数のシートを含むブックでより顕著に現れる
  • 特に.NETプログラムやPowerShellからの外部制御時に影響が大きい
  • シート数が増えるほど、処理時間の増加が著しくなる

技術的な背景

この現象は、新しいシートタブのデザインを表示するために必要となった描画処理の変更が主な原因とされています。特にシート数が多いケースでは、以前の処理方式と比べてより多くの時間を要することが判明しています。

影響を受けるバージョン

この問題は、以下のバージョン以降のExcelで確認されています。

【Microsoft 365 Apps】

  • 最新チャネル
  • Windows 11: Ver.2308(ビルド16731.20170)
  • Windows 10: Ver.2404(ビルド17531.20120)

【製品版Office】

  • Office 2024: 全バージョン
  • Office 2021: Ver.2308(ビルド16731.20170)

※ボリュームライセンス版のOffice LTSC 2024/2021は影響を受けません

対処方法

現時点では完全な解決策は提供されていませんが、以下の方法で影響を軽減できる可能性があります。

  1. シート名に日本語を使用しない
  2. 外部プログラムからの制御をVBAに切り替える
  3. 影響のないバージョンに戻す(※セキュリティリスクに注意)

最後に

マイクロソフト社でも本件については認識しており、現在対応を検討中とのことです。特に業務用のExcel自動化処理を行っている方は、この問題の影響を受ける可能性があるため、事前の検証をお勧めします。

なお、バージョンを戻す対応を検討される場合は、セキュリティ更新プログラムが適用されないリスクについても十分考慮する必要があります。可能な限り、上記の暫定対処法の1または2の採用を検討されることをお勧めします。

コメント