公認会計士の情報収集を効率化 – NotebookLMの活用法

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はじめに

公認会計士として新規クライアントを初めて担当する際、最初に立ちはだかるのが「情報のインプット」です。有価証券報告書、会社ホームページ、IR資料などを読み込み、業務内容やビジネスモデルを短時間で把握する必要があります。

このプロセスを効率化し、より本質的な監査準備に時間を割けるようにするツールとして、GoogleのNotebookLMが非常に有効であることを実感しています。

本記事では、私が実際に使っている活用方法をベースに、若手から中堅会計士の皆さんにも役立つ使い方をご紹介します。

NotebookLMとは?

NotebookLMは、Googleが開発した「ドキュメントに基づいて学習・対話ができる」AIツールです。ユーザーがアップロードしたPDF、Webページ、テキストファイルなどをもとに、LLM(大規模言語モデル)が情報を要約したり、質問に答えたり、会話形式で内容を説明したりしてくれます。

一言でいえば、「自分専用のAIドキュメントアシスタント」です。

会計士業務におけるNotebookLMの活用ステップ

ステップ1:情報ソースの投入

まず、対象企業の情報をNotebookLMにアップロードします。たとえば以下のような資料です。

  • 有価証券報告書
  • 会社の公式Webサイト
  • ニュースリリースやプレス発表
  • IRプレゼンテーション資料

NotebookLMはURLから直接Webページを読み込ませることも可能ですし、手元のPDF資料をアップロードすることもできます。

NotebookLM ソース選択

ステップ2:AI Podcast機能の活用

NotebookLMのユニークな機能の一つに「AI Podcast」があります。これはアップロードした資料の内容を、まるで対話形式の音声解説のようにAIがまとめてくれる機能です。しかも、かなり自然な日本語で話してくれるので、機械音声である点がほとんど気になりません。本当にすごいので、騙されたと思ってここだけでも一度試してもらいたいです。

ここで特に有効なのが、音声概要のマスタマイズで「公認会計士向けの解説にしてください」という指示を与えることです。

「この企業のビジネスモデルについて、会計監査を担当する公認会計士向けに説明してください。」

NotebookLM Audio設定

するとAIは、売上構成、収益認識の特徴、主要なリスク要因、セグメント別情報など、監査実務に直結する視点から企業の情報をまとめてくれます。

実際に音声で聞くことができるため、移動中やちょっとした空き時間にもインプットが可能で、非常に効率的です。

実務上のメリット

✅ インプット時間の圧縮

AI Podcast機能で読まなくとも情報を収集することが可能です。

✅ 会計的観点での理解が深まる

「ただ読む」のではなく、会計士の視点で情報が整理されることで、監査計画やリスク評価にも直結します。

✅ クライアント先での即時対応力

現場で「この会社の○○事業について詳しく知りたい」となったときにも、NotebookLMに質問すれば即座に要点を提示してくれます。

補足:留意点

  • NotebookLMは2025年現在、日本語の読み込み・生成にも対応していますが、資料はなるべくテキスト形式に変換しておくのが望ましいです(特に画像形式のPDFだと認識精度が落ちます)。
  • 当たり前ですが、非公開情報や機密性の高い資料のアップロードは止めましょう。

まとめ

会計士業務は「正確さ」だけでなく「スピード」と「現場対応力」も求められる時代に入っています。NotebookLMは、特に情報収集や企業理解といった部分で、従来の限界を大きく超えるサポートをしてくれるツールです。

特に若手〜中堅の会計士の方にとっては、「情報収集の質と速さを一段階引き上げる」武器になるでしょう。まずは一度、自分が担当しているクライアントの資料を入れて試してみてください。きっと、その効果を実感できるはずです。

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