はじめに
OpenAIからCodex(codex-1)が発表されました。残念ながらまだPro以上のユーザーしか使えないようですが、いずれPlusユーザーにも降りてくると思いますので、概要をまとめておこうと思います。
Codexとは何か?
OpenAI Codexは、自然言語を解析し、対応するコンピュータープログラム(コード)を生成することができる人工知能モデルです。Codexは、OpenAIの強力な言語モデルであるGPT-3を基盤としていますが、プログラミングに特化するために約5,400万のGitHubリポジトリから収集された159ギガバイトものPythonコードで追加訓練されています。
Codexは主にPythonでの能力が最も高いものの、JavaScript、Go、Perl、PHP、Ruby、Swift、TypeScript、SQLなど、12以上のプログラミング言語に対応しています。GitHub Copilotなどのツールのバックエンドとして使用され、プログラマーの生産性向上に貢献しています。
Codexの主な機能
Codexは以下のような様々なタスクに利用できます。
- 自然言語からコードへの変換: 「画面の中央に赤い円を描画する」といった自然言語の指示からコードを生成
- コンテキスト内でのコード補完: 既存のコードを理解し、次のコード行や関数を予測して記述
- コメントからコードへの変換: プログラムのコメントを読み取り、対応するコードを生成
- コード説明の生成: 既存のコードを分析し、その機能を自然言語で説明
- 異なる言語間のコード変換: あるプログラミング言語で書かれたコードを別の言語に翻訳
- ライブラリやAPI提案: タスクに適したライブラリやAPIの利用を提案
Codexの実用例
紹介ページでo3との比較が掲載されていますが、全体的にo3では冗長になっている部分がばっさりカットされていて、より自然な印象を受けます。

Codexの性能と限界
OpenAIの発表によると、Codexはプロンプトの約37%を完全に解決できるといわれています。テストケースを100回試行した研究では、プロンプトの70.2%に対して実用的な回答を生成したとの結果も報告されていますが、以下のような限界も依然として残っています。
- 複数ステップの複雑なリクエストには苦戦することがある
- 時にバグを含むコードや非効率的なコードを生成することがある
- トレーニングデータに基づく偏りが存在する可能性がある
- セキュリティの脆弱性を含むコードを生成する可能性がある
プログラマーの仕事への影響
Codexの登場は、プログラミングの未来に大きな影響を与えています。しかし、OpenAIは「Codexは人間のプログラマーを置き換えるのではなく、その作業を速めることを目的としている」と強調しています。
実際、Codexはプログラマーにとって次のようなメリットをもたらします。
- 定型的なコーディング作業の自動化による生産性の向上
- プログラミング初心者の学習支援
- 創造的な問題解決にフォーカスするための時間的余裕の創出
- 異なるプログラミング言語間の移行の容易化
Codex CLIとChatGPTのコード機能
2025年4月にはOpenAIがCodex CLIという新しいツールを発表しました。これはターミナルからコマンドラインで動作する軽量コーディングエージェントで、自然言語からコードを生成するだけでなく、そのコードを実行して結果を表示することも可能にしています。
また、最新のChatGPTモデルにはコーディング能力が統合されており、コード生成や既存コードの修正、説明などの機能がより使いやすくなっています。さらに2025年5月には、クラウドベースのソフトウェアエンジニアリングエージェント「Codex」のリサーチプレビュー版が発表され、機能開発やコードベースに関する質問への回答、バグ修正など、より高度なタスクも実行できるようになっています。
まとめ
OpenAI Codexは、プログラミングの世界に革命をもたらす可能性を持つAIシステムです。自然言語からコードを生成する能力により、プログラマーの生産性を向上させるだけでなく、プログラミングをより多くの人々にアクセスしやすくする可能性を秘めています。
ただし、Codexはあくまでもツールであり、最終的には人間のプログラマーの創造性や問題解決能力が重要であることを忘れてはなりません。最良の結果を得るためには、Codexが生成したコードを理解し、必要に応じて修正できる知識が依然として重要です。
今後もAIとプログラミングの融合はさらに進化していくことでしょう。プログラマーとして、こうした変化を恐れるのではなく、新しいツールとして積極的に取り入れていくことが、未来のソフトウェア開発において重要になるのではないでしょうか。
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